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社会をよくしたいと思って動くなかで、気づかないうちにしんどさを抱えてしまうことはありませんか?
この記事でいう「アクティビスト」とは、社会の中の問題に関心を持ち、それを変えようと行動する人のことを指します。
また「アクティビズム」は、そのような行動や取り組み全体のことです。 特別な立場の人だけでなく、身近なところで声を上げたり、関わったりすることも含まれます。
やらなきゃいけないことが多い。終わりが見えない。うまくいかないこともある。
それでも立ち止まりにくい。責任感に押しつぶされそう。
そんな状況のなかで、心や体が少しずつ疲れていくことは、めずらしいことではありません。
それが積み重なると、「バーンアウト(=燃え尽き症候群)」と呼ばれる状態になることがあります。 これは、ただの疲れではなく、長く続いたストレスによって、やる気が出なくなったり、感情が不安定になったりする状態です。
これは誰か一人の問題ではなく、いまの社会運動のあり方の中で起こりやすいものでもあります。
だからこそ、知っておくことや、言葉にすることが大切だと思います。
そこで、この記事では、ここからは、バーンアウトについての理解を深めるために、Activist Handbookさんの記事を翻訳します。
クリエイティブコモンズのマークがついていましたが、念のため事前にActivist Handbookさんに連絡をとり、翻訳許可をいただきました。
アクティビストの
バーンアウト(燃え尽き症候群)
アクティビズムの文脈で
バーンアウトを理解する
このガイドでは、アクティビストのバーンアウトにどのように対処するか、
そしてそれをどのように防ぐかについて説明します。
バーンアウトとは何か
バーンアウトとは、慢性的なストレスの最終的な結果として起こる状態です。
いらだち、やる気の低下、感情の不安定さといった特徴をもつ症候群です。
バーンアウト(燃え尽き症候群)には、次の5つの段階があります。
・ステージ1:ハネムーン期
→新しい活動や課題に取り組み始めたときの、強い意欲やワクワクした気持ちがある状態です。
例として、新しいアクティビズムのグループに参加したときなどがあげられます。
・ステージ2:ストレスの始まり
→疲労感、生産性の低下、睡眠の乱れなど、ストレスの症状が少しずつ現れ始める段階です。
・ステージ3:慢性ストレス
→やる気の低下に加えて、より強い症状が頻繁に現れるようになります。この段階では、喫煙や飲酒などの好ましくない習慣が始まることもあります。
ステージ4:バーンアウト
→日常の最低限の作業でさえ対処するのが難しくなります。すべてが退屈で価値のないもののように感じられ、感情が鈍くなる、あるいは常に圧倒されているように感じる状態になります。
・ステージ5:慢性化したバーンアウト
→バーンアウトの症状が日常生活の一部となり、慢性的な疲労、抑うつ、無気力といった状態が続くようになります。
バーンアウトの原因
・非常に負担の大きい課題
・適切なサポートが得られないこと
・自己認識(自分の状態への気づき)の不足
・日常のルーティンから離れて休む機会がないこと
・仕事や活動から満足感が得られないこと
・家族の問題など、その他の個人的なストレス要因
・物事に対するコントロール感の欠如
・ワークライフバランスの崩れ
・不公平さを感じる環境
どうしてアクティビストは
バーンアウトになるリスクが高いのか
アクティビストが担う活動は、計画を立てたり、うまく組織したりすることが難しいものが多くあります。多くの活動はボランティアで行われており、給与のようなかたちで「すぐに得られる報酬」があるわけではありません。
また、アクティビストは少数派の立場に置かれることも多く、その主張に反対する人や社会全体からの圧力や攻撃の対象になることもあります。そのため、活動の準備や参加そのものが難しくなり、さらなるストレスにつながることがあります。
さらに、アクティビストが置かれているこのようなストレスの大きい環境は、あまり広く知られていません。そのため、十分な共感が得られにくく、支援も限られがちです。ときには、友人や家族からさえも、活動を批判されたり、「無駄なことだ」と見なされたりすることもあります。
多くのアクティビストは、「自分が注いでいるエネルギーは本当に変化につながるのだろうか」といった迷いや不安を、くり返し感じています。たとえば気候変動の問題に取り組む人たちを見ても、そのことはよく分かります。アクティビストたちにより重要な活動が続けられている一方で、世界の実際の対策は十分に進んでいないのが現状です。こうした状況は、達成感の得にくさにつながり、バーンアウトのリスクをさらに高めてしまいます。
また、アクティビストは常に「実際に変化を起こすこと」を求められるプレッシャーを抱えています。これまで緑地だった場所に新しく商業施設が建設されるといった望ましくない変化が起きた場合、短い時間の中でそれに対抗することが求められます。効果的な抗議行動を組み立てたり、別の提案を考えたりしながら、実際に影響を与えなければなりません。その過程はとても負担が大きく、たとえ活動しても計画がそのまま進んでしまった場合には、強いフラストレーションをかんじます。
バーンアウトに気づくには
多くの人は、自分がバーンアウトを経験していることにすぐには気づきません。バーンアウトはゆっくりと進行するため、自分で気がつくことが難しいからです。
多くの場合、生活に深刻な影響が出てから「何かおかしい」と感じるようになります。たとえば、家族や友人と頻繁に衝突するようになる、学校や仕事でうまくいかなくなる、過度に眠るようになる、常に疲れていると感じる、あるいはすべてのことにいらだちを感じるようになる、といった変化です。
本来は、そのような状態になる前に気づくことが理想です。
バーンアウトに気づくためには、まずその意味や症状について知ることが大切です。そして、ストレスを感じ始めた段階で、そのサインを軽く見ないことが重要です。ストレスを否定したり無視したりして日常を続けるのではなく、「自分はいまストレスを感じている」と認識することが必要です。ストレスから目をそらすことは、かえってバーンアウトのリスクを高めてしまいます。
バーンアウトを防ぐには
バーンアウトを予防するための方法として、次のようなことがあげられます。
・自分が強いストレスを受けていることを認識すること
・こまめに休憩をとること
・日常の中で別の活動から満足感を得ること
・趣味をおろそかにしないこと
・1日30分以上の運動をすること(散歩でもOK)
・セルフケアを行うこと(十分な水分補給、7〜8時間の睡眠、友人と過ごす、大切な人と連絡をとる、ペットと過ごす、音楽を聴く、新しい楽しみを見つけるなど)
・日記やログ、メモなどに自分の気持ちを書き残すこと
・必要に応じて専門的なカウンセリングやセラピーを受けること
・自分の限界を認識し、それを受け入れること(私たちは無敵ではありません)
・アクティビズムや仕事を、自分の健康よりも優先しないこと
・タスクが負担になっている場合には、友人や同僚、他のアクティビストに助けを求めること
バーンアウトへの対処
・ストレスの原因となっているものから離れることが大切です。必要であれば、アクティビズムから一時的に離れることも問題ありません。休むことで、また少し力を取り戻して、変えていこうと思える自分に戻ってこれるはずです!😃
・信頼できる人に、自分の気持ちを伝えてください。バーンアウトを認めることは弱さではありません!気持ちを言葉にして共有し、それが受け止められることで、心が軽くなります。また、相手も同じような経験をしているかもしれず、自分だけではないと感じられることもあります。
・必要に応じて、専門家のサポートを受けることも大切です。セラピストやカウンセラー、心理士、精神科医に相談することは、決して恥ずかしいことではなく、ごく自然なことです!
人生のどこかで、誰もが一度は専門的な助けを必要とすることがあります。こうした専門家は、バーンアウトのきっかけになっている要因を一緒に見つけ、どう向き合っていくかを考える手助けをしてくれます。そしてそのプロセスを通して、これからの困難にも少しずつ向き合いやすくなっていきます。
費用のことが気になる場合は、地域の相談窓口やホットラインに連絡してみてください。無料で利用できる支援が用意されていることもあります。
・より健康的な生活習慣を取り入れてください。たとえば、より適切な時間に眠る、水をしっかり飲む、バランスのよい食事をとる、好きなことに時間を使うなどです。
・自分自身を最優先にしてください。
・ヨガやサポートグループなど、マインドフルネスの活動を試してみてください。
・瞑想を取り入れることも有効です。不安を軽減し、集中力を高める効果があります。
・専門家の判断に基づいて、必要であれば薬を使用することもあります。不安や抑うつの症状をやわらげる助けになります。
結論
バーンアウトとは、ストレスが積み重なった結果、日常生活に対処することが難しくなる状態です。身体的な健康(心血管疾患、肥満、糖尿病など)のリスクを高めるだけでなく、心理的な影響として抑うつにつながる可能性もあります。
そのため、バーンアウトはできるだけ予防し、もし起きてしまった場合には早めに対処することが重要です。この概念は多くの人に知られるべきであり、学校教育の中でも扱われるべきだと考えられます。
アクティビストには、社会をより良く変えていく役割がありますが、同時に自分自身の心と体の健康を守る責任もあります。
クレジット
本記事は「Pizza & Write-a-thon」という、Activist HandbookとFederation of Young European Greensによる共同プロジェクトの中で作成されました。
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- Hope and Activist Burnout by Holly Hammond
以上翻訳。
出典:Activist Handbook
原文:https://activisthandbook.org/wellbeing/burnout
アクセス:2026年4月12日
本記事は上記をもとに翻訳・編集したものです。
本記事は元記事と同様、 Creative Commons のライセンス
CC BY-NC-SA 4.0 のもとで公開します。

